法人向けの保険

「解約返戻金」の疑問を解決します

「今更誰にも聞けないけど、解約返戻率ってなに?」
「解約返戻金ってどうやって活用するのがいいのだろうか?」

このような疑問をお抱えになっている経営者の皆様も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、法人保険について無知であった筆者が、あらゆる保険のサイトを調べ尽くして得た知識をもって、解約返戻金の疑問にお答えします。

法人保険の加入前の皆様にもわかりやすいよう、解約返戻金とは何かという基礎からお教えします。

また、もう既に法人保険に加入されている方にも役立つ、経理処理や仕訳方法も紹介しているので参考にしていただければと思います。

では早速、解約返戻率(金)とは?からみていきましょう。

法人保険の解約返戻金(率)とは?


解約返戻金とは、法人保険を解約した際に払い戻されるお金(支払い保険料の一部)

払い込んだ保険料の総額に対して、解約返戻金がいくら戻ってくるかの割合を解約返戻率といいます。

解約返戻率の計算方法を式にすると以下のようになります。

解約返戻率=解約返戻金÷払込保険料累計

例えば、毎年の保険料が100万で10年後に解約した場合、解約返戻金が900万円だとすると、解約返戻率は90%となります。

900万円(解約返戻金)÷1,000万円(100万円×10年:払込保険料累計)×100=90%
これを単純解約返戻率と言います。

また、単純返戻率の他に実質返戻率もあります。

実質返戻率とは、支払保険料から損金を差し引いた金額に対する解約返戻率。

ちなみに損金とは、益金(売上)から差し引くことのできる費用(経費)のことです。

仮に法人税率を40%として計算した場合、損金算入保険料は200万円です。

50万円(100万円×1/2)×40%×10年=200万円

解約返戻金÷(支払保険料-(損金算入保険料×実効税率))

900万円÷(1,000万円-200万円)×100%=112.5%

このように、支払い保険料に対して節税できた金額を控除すると、解約返戻金は一見900万円と支払保険料よりも少額に見えますが、実はキャッシュとして貯めた時より10年で12.5%も多くのお金を貯めることができます。

尚、法人税の実効税率は変動しますが、今回はわかりやすく法人税率が40%だった場合で計算しています。

過去には実行税率が50%近くの時期もありましたが、現在は税率が下がる傾向にあるため、20%近くまで下がってきています。

ただし、解約時に解約返戻金の使い道が決まっていることが前提になります。

というのも、出口戦略がないまま、多額の資金を受け取った場合は、その期の雑収入として計上され、課税対象になってしまうから。

そのため、ただの税金の繰延(くりのべ)にしないためには、法人保険の出口戦略が重要です。

損金計上と資金計上


解約返戻金は基本的に雑収入(益金)として計上され、課税対象になります。

法人保険は、保険料が全額損金算入できるタイプと、一部のみ損金算入され、残りは保険料積立金などとして簿外に積み立てられる法人保険の、大まかに2種類。

2 保険料の一部が資産計上されていない(全額損金計上)タイプと、資産計上されている保険タイプ(1/2損金、1/3損金計上)の2種類に分けて考えるとわかりやすいです。

下記の表をご覧ください。

保険種類 保険料の
損金算入割合
解約返戻金の税法上の扱い
長期平準定期保険 1/2損金 資産計上分を引いた額(保険料総額の1/2)=益金
逓増定期保険 1/2損金 資産計上分を引いた額(保険料総額の1/3)=益金
生活保障型定期保険 全額損金 全額が益金
がん保険(解約返戻金あり) 1/2損金 資産計上分を引いた額(保険料総額の1/3)=益金
終身保険 損金算入なし 資産計上分を引いた額(保険料総額の1/3)=益金

この表から、経理処理は保険種類によって異なることがお分かりいただけるかと思います。

下記では、全損タイプの法人定期保険と1/2損金定期保険を例に経理処理と仕訳方法をご説明したいと思います。

法人保険の経理処理と仕訳方法


それでは、まず保険料積立金がない場合(全額損金タイプ)の法人保険をみていきましょう。

保険料積立金がない場合(全額損金タイプ)


今回は保険料の全額を損金算入できる、全額損金タイプの定期保険を例に、法人保険の経理処理と仕訳方法をご紹介します。

保険料や解約返戻率は分かりやすくするため、切りのいい数字で計算しています。

<契約例>
保険料累計:1,000万円(100万円/年×10年)
保険期間:10年(解約返戻時期:10年後)
解約返戻金:900万円(解約返戻率90%)

【保険料支払い時】

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
保険料 100万円 現金・預金 100万円

保険料支払い時は、毎年100万円を保険料として支払い、保険料の全額が損金算入されます。

【解約返戻金受取時】

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
現金・預金 900万円 前払保険料
雑収入
500万円
400万円

受取った金額は全て雑収入として益金(利益)になり、法人税の課税対象。

では次に、保険料積立金がある場合1/2損金・1/3損金等)の経理処理と仕訳方法をみていきましょう。

保険料積立金がある場合(1/2損金・1/3損金等)


今回は保険料1/2損金算入の可能な「長期平準定期保険」を例に経理処理と仕訳方法をご説明します。

保険料累計:1,000万円(100万円/年×10年)

期間:10年(解約返戻時期:10年後)

解約返戻金:900万円(解約返戻率90%)

【保険料支払い時】

保険料支払い時は、毎年100万円を保険料として支払います。

保険料の1/2は損金算入され、1/2は保険料積立金(前払保険料)として課税対象。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
保険料 100万円 現金・預金 100万円

【解約返戻金受取時】

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
現金・預金 900万円 前払保険料
雑収入
500万円
400万円

このように、法人保険の解約返戻金を受け取ると資産が増加します。

この解約返戻金(900万円)には前払保険料として簿外(保険会社)に積み立ててきた500万円が含まれている為、残る400万円が雑収入(益金)となります。

900万円(解約返戻金)-500万円(前払保険料)=400万円(雑収入)

もし解約返戻金を受け取り、企業が黒字のまま決算時期になると、益金に法人税がかかってしまいます。

解約返戻金に税はかかるの?


結論から申し上げますと、解約返戻金は益金となり、法人税がかかります。

解約返戻金を受け取った年が黒字決算であり、解約返戻金額相当の金額を支出しない限り、法人税の課税対象となってしまうのです。

せっかく保険料払い込み期間に節税しても、解約返戻金を受取時に課税されたのでは、税金の繰延に過ぎません。

その為、法人保険の加入時にあらかじめお金の使い道を決めて(出口戦略)、お金が必要な時期と解約返戻金がピークになる時期を合わせることで、最大限に法人保険を活用できます。

出口戦略の方法については、後ほど詳しくご説明します。

消費税がかかるって本当?


経理処理の際、解約返戻金に消費税がかかるのかどうか迷われる方が多くいらっしゃいます。

保険金収入と言われる、死亡保険金や解約返戻金には、消費税はかからないのでご安心ください。

ただし、会計ソフトを使って計算する際、保険金収入は消費税の課税対象外、保険料の戻りは非課税となる点に注意が必要です。

賢い出口戦略選


ここまでお読みいただいた皆様には、法人保険の出口戦略の重要性をご理解いただけたかと思います。

では具体的にどのような出口戦略があるのでしょうか?

下記では法人保険の代表的な出口戦略(解約返戻金の使い道)をご紹介します。

退職金準備


退職金準備は最も人気のある法人保険の活用方法の一つです。

法人保険の生命保険の場合、保険料の一部、または全額を損金算入することが可能。

つまり、保険料を支払っている間ずっと節税効果があるということです。

さらに、解約返戻率がピークの時に解約することで、キャッシュで退職金を積み立てた時よりも多くの金額を積み立てることが可能です。

よって、ある程度必要な時期と金額が予測できる退職金準備に向いていると言えます。

設備投資準備


退職金準備と同じ理由で、法人保険は設備投資の資金の準備としても有効な出口戦略です。

加入時には、設備投資が必要となる時期に合わせて、解約返戻率が最大となるよう保険の設計が必要。

事業継承対策


法人保険の解約返戻金は事業継承対策にも有効な出口戦略。

事業継承時には、後継者に多大な経済的負担がかかります。

それは、継承時には経営者が保有している会社の財産を全て継承者に引き継ぐ必要があるからです。

継承時には相続税・贈与税等莫大な税金がかかります。

そんな時、法人保険の解約返戻金を納税費用に充てることで、後継者の経済的負担を減らせます。

使い道に困ったら?解約返戻金の活用方法


法人保険の解約金返戻率がピークになった時、法人保険を解約したいが資金の使い道がない時はどうしたらいいのでしょうか?

法人保険の解約返戻金は退職金以外にも様々な使い道があります。

保険再加入の費用


法人保険の解約返戻金を元手に新たな保険に入ることが可能です。

保険のいいところは、少額から高額まで保険料を幅広く設定できるところです。

解約返戻金の金額に合わせて、新たな保険に加入すれば、保障も受けられる上、節税効果もあり、一石二鳥です。

福利厚生費


いつも会社を支えてくれている従業員への労いとして、法人保険の解約返戻金をボーナスや社員旅行費に充てるこことも可能です。

従業員の満足度や結束が高まることで、会社として新たな利益を生み出すことができるはずです。

法人保険の知っておくべき注意点

今まで法人保険の解約返戻金の経理処理や活用方法をご説明してきましたが、解約返戻金には注意点があります。

解約の時期に注意


法人保険の解約返戻金は満期保険金などと違い、保険に加入して一定期間経過したら自動的に入ってくるお金ではありません。

解約時期を見極め、解約手続きをする必要があります。

解約時期が早かったり、遅かったりすると、ピーク時に比べ解約返戻率が急激に落ちるので注意しましょう。

キャッシュフローの悪化に注意


法人保険では保険期間中、高額な保険料を払い続ける必要があります。

節税効果がある一方、キャッシュフローを悪化させる原因にもなり得るため、利益が安定して出ている状態で、無理のない範囲の金額で加入することが重要。

まとめ

この記事では法人保険の解約返戻金の取り扱い、経理処理と仕訳方法等の押さえておくべき必須事項についてご説明してきました。

解約返戻金を上手く活用することで、企業には退職金準備以下にも様々なメリットがあることがお分かりいただけたかと思います。

これから加入をご検討されている方も、もう既に加入されている方も、出口戦略についてよく考えることをおすすめします。

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